鳥居正宏のときどきLOGOS

EU宗教政策諮問委員会(Y.S.E.E.)メンバー、アムネスティ・インターナショナル会員、社会民主党党員の鳥居が、政治・社会・文化・国際問題などについて、時々に感じることを個人的に書き綴ります。 (C)無断転用・無断転載不可。全ての記事の著作権は鳥居正宏にあります。

新テロ特措法の衆議院での再可決を受けて、考えさせられたことがあります。

もし、日本にも、ドイツのように「憲法裁判所」(国会で成立した諸法を憲法と照らし合わせて、原告に実害が生じていようがいまいが関係なく、国会での立法を違憲か合憲かを積極的に判断(ドイツ型の抽象的違憲審査制度)をする裁判所・・・ただし日本では『日本国憲法』第76条第2項において既存の裁判所以外の「特別裁判所」の設置が禁じられているので、これをクリアするようなかたちでの憲法裁判所)があれば、新テロ特措法が再可決されるや否や、社民党や共産党は、時をおかずして、すぐさま「憲法裁判所」に提訴し、「新テロ特措法」が違憲か合憲かの判断を、司法の場に委ね、さらなる議論を重ねることができたでしょう。そして、すくなくともその審理の期間中には、新テロ特措法は実行できません(効力が中断される)。


現状の最高裁判所は、唯一、憲法条文に照らして諸法の違憲性を判断できる最終の審理機関ですが、しかし最高裁が違憲審査をできるのは、個別の、個々の紛争に限って、原告に実害が生じている場合にのみ、その紛争解決を計るためにのみ、その事件に関する諸法に限って違憲かどうかを判断をするだけの事であって、非常に消極的な違憲審査(アメリカ型の付随的違憲審査制度)です。積極的に国会で成立した諸法が違憲かどうかを審理・判断する権限は最高裁には与えられていません。


溯って、昨年11月頃に出てきた、生活保護費支給額の引き下げ論も、結果的には、衆院選を控えて、与党が選挙戦略として一旦、引っ込めたかたちになりましたが、この法案が、もし衆議院で可決し、参議院で否決し、再度衆議院で可決すれば、私たちは、もう、なすすべがないですよね。


『日本国憲法』第25条には、
第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。



と、国民の生存権を保障しています。


そして、生活保護制度は、この憲法25条を実現するための制度です。そして現状の生活保護費支給額が(仮に)、この憲法の条文の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を実現するための金額だとすれば(実際には到底不十分なのですが)、原油価格の高騰で、あらゆる生活必需品の物価が上昇している中での生活保護費の支給額引き下げは、あきらかに憲法25条違反ではないですか!


しかし、この国には「憲法裁判所」がないために、もし、この生活保護費支給額引き下げの法案が提出されていたならば、衆議院可決→参議院否決→衆議院再可決。となって憲法違反であるにもかかわらず、その法律は成立してしまうことになります。


即ち、現状の日本の法制は、憲法条文と国会で成立した諸法との間に整合性がない(矛盾が生じている)のです。これは、近代法治国家の要素を満たしていません。まったくもって情けないことです。


真の三権分立とは、他の二権を監視し合い、それぞれが暴走を防ぐことを目的としているはずなのに、この日本の国の三権分立では、憲法裁判所がないために、いま、国会は、政権与党は、やりたい放題。暴走しまくりではないですか。


これでは、『日本国憲法』98条の存在意義がないではないですか!



『日本国憲法』
第98条
この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部または一部は、その効力を有しない。



もし、日本にドイツのような「憲法裁判所」があれば、生活保護費支給額減額案など、出てくる余地はありません。また、新・旧テロ特措法も「違憲(憲法9条違反。即ち、自国軍の海外展開、集団的自衛権の行使、兵站による他国の戦争の幇助)」との判断が出て、憲法98条の規定によって、破棄されていた可能性が大です。安倍政権時の異常な強行採決群も有り得なかったでしょう。


私は、社会学者であって、法律には、全くのシロウトです。そんなシロウトの私にでもわかるような、この国の司法制度の致命的な大欠陥。


即ち、憲法裁判所が存在しないことによって、国会での立法が暴走し、現在、違憲な立法がまかり通っている。ということがシロウトの私にでさえ、手に取るようにわかります。


法律のプロである、弁護士や、国会議員、裁判官たちは、なぜ、我が国の司法のこの致命的な大欠陥を、いままで見逃してきたのか。なぜ「憲法裁判所の設置運動」を起こしてこなかったのか。あまりの問題意識の低さ。


私は、「護憲政党」である社民党政策審議会に対して、まず、今回成立した新テロ特措法を「国民の税金を他国の戦争支援に使用している。これは不当な税の使途ではないか」と、個別紛争化して、新テロ特措法の違憲審査を求めて「党」として提訴して欲しい。そして近い将来に、日本にも、現行憲法の76条をクリアするかたちで(たとえば、最高裁判所の支局としての)、「憲法裁判所」の設置を検討・実現して欲しい。「憲法を護り、活かすために!」との提案をしました。ドイツにできて、日本にできないはずはない!


日本が、真の近代法治国家となるために!
日本が、真の三審制の意義を発揮できるためには、どうしても「憲法裁判所」が必要です!
日本が、国会の暴走を止め、これ以上違憲な立法を防止するために!


【参考】
『六法全書』三修社 2002



(C)無断引用・無断転載不可。全ての記事の著作権は鳥居正宏にあり、日本国の著作権法及び国際条約によって保護されています。


テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

このページのトップへ

Information

Pallas Masahiro Thorii
  • Author: Pallas Masahiro Thorii



  • 鳥居正宏の『アムネス亭』



    鳥居正宏のプロフィール:
    いちばん下にあるリンク欄を、ご参照ください。



    当ブログのポリシー:
    護憲・非戦・反差別を信条としています。


    記事の転用・転載について:
    基本的に(記事中に特別な記載のない限り)、すべての記事の無断転用・無断転載は固く禁じます。 当ブログのすべての記事の著作権は、鳥居正宏にあり、日本国の著作権法及び国際条約によって保護されています。



    管理者(鳥居)からのお礼:
    いつもトラックバックを送っていただき、誠にありがとうございます。送っていただきました記事の情報は、全て必ず訪問させていただき、全文拝見させていただいております。ほんとうにありがとうございます。



    管理者(鳥居)からのお願い:
    公序良俗に反する内容、および悪意・憎悪を露にした他者(公人含む)への過激な批判・悪罵、さらに直接的な暴力的革命等を示唆・扇動するような内容を含むコメントやトラックバックは掲載できませんので、ご了承ください。

Search

Calendar

12月 « 2008年01月 » 02月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

 

プロフィール

Pallas Masahiro Thorii

Author:Pallas Masahiro Thorii



鳥居正宏の『アムネス亭』



鳥居正宏のプロフィール:
いちばん下にあるリンク欄を、ご参照ください。



当ブログのポリシー:
護憲・非戦・反差別を信条としています。


記事の転用・転載について:
基本的に(記事中に特別な記載のない限り)、すべての記事の無断転用・無断転載は固く禁じます。 当ブログのすべての記事の著作権は、鳥居正宏にあり、日本国の著作権法及び国際条約によって保護されています。



管理者(鳥居)からのお礼:
いつもトラックバックを送っていただき、誠にありがとうございます。送っていただきました記事の情報は、全て必ず訪問させていただき、全文拝見させていただいております。ほんとうにありがとうございます。



管理者(鳥居)からのお願い:
公序良俗に反する内容、および悪意・憎悪を露にした他者(公人含む)への過激な批判・悪罵、さらに直接的な暴力的革命等を示唆・扇動するような内容を含むコメントやトラックバックは掲載できませんので、ご了承ください。

フリーエリア

プロフ

ご訪問者数

Since Jul 1st, 2007

最近の記事

全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のコメント

最近のトラックバック

携帯用アクセスQR

QRコード

RSSフィード

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

Powered By FC2

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ